投資の効果を最大化するには

2016年7月/8月


グッドイヤーのEric Matsonが、TKPHレーティングとトレッドデザインがタイヤパフォーマンスにおいて重要な役割を持つ理由を解説。また、メンテナンスが投資の価値を高めることについても取り上げます。

大型運搬用トラックは、多大な荷重を負いながら極めて過酷な路面を走ります。そんな車両のタイヤにも結果として、大きな圧力がかかります。保有車両やメンテナンスの管理者は、利益を生むそれらの機器に最適なタイヤを選ばなければなりません。

お使いの運搬用トラックに適したタイヤを選ぶにあたり、考慮すべき点は数多くあります。中でも1番に行うべきことは、鉱山現場の「接地面」の検証です。特定のタイヤを選ぶ前に、運搬用トラックが現場で実際にどんな作業を行うのかしっかり把握することが大切です。

この把握は、トラックに位置情報追跡ユニットを取り付けて特定時間にわたり操業すれば実現できます(グッドイヤーの推奨時間は24~48時間)。そのデータにもとづいて現場マップが作成できるでしょう。

同時に、トラックの走行距離、速度、荷重も測定しましょう。多くのトラックには、速度と荷重のデータを記録する機器があらかじめ搭載されています。

データから平均荷重を割り出し、平均速度の値で乗算すると、現場の1時間あたりのトンキロメートル値 (TKPH) になります。

また、用途に関わらず、どの採掘用タイヤにも特定のTKPH値があります。そのタイヤがどの程度の速度と荷重に耐えるか示すもので、鉱山現場のTKPH値と照らし合わせてタイヤを選ぶ必要があります。

どんな場合でも、タイヤのTKPHが現場のTKPHを超えるものを選んでください。これを守ることで、現場に適したタイヤ選びができます。

トレッドデザイン

タイヤのトレッドデザインにも特に注意しましょう。

複数のトレッドデザインから選べる場合、表面上はどれも使えそうに見えるかもしれません。しかしトレッドこそタイヤに性能を与えているものであり、路面状態によって、選ぶべきトレッドデザインはしばしば異なります。

路面状態は比較的なめらかでしょうか?その場合は、トレッド深さが浅めのタイヤがより適しているかもしれません。過酷だったり石の多い路面ではトレッドの深いタイヤの方が、牽引力とカットに対する耐性が高く適しています。

判断がつきにくい時は、タイヤメーカーの担当者に相談すれば、現場の路面状態の検証を支援し、専門家として最適な製品をすすめてくれるでしょう。

路面状態を検証する際、現場に出入りする道路も含め、問題のありそうな場所も確認してください。タイヤを傷つけそうな石や瓦礫などはないか?整備状態はどうか?

タイヤの牽引力を高めるために、砂利を敷くなどできることはないか?トラックを走らせる際にカーブはどれくらいあるか?路面の傾斜はどの程度か?グッドイヤーは、下り坂でも上り坂でも傾斜は8度までを推奨しています。

メンテナンス(およびそのメリット)

結局のところ、綿密なタイヤ選びで得たメリットも、正しくメンテナンスされなければ台無しになってしまいます。タイヤは業務に不可欠なアイテムであり、大きな投資対象でもあるので、パフォーマンスと寿命の最適化のために、できる限りの取り組みをする価値があります。

インフレーションのレベルを適切に保つことだけを見ても、タイヤのパフォーマンスと寿命の最適化に大きな効果があります。インフレーションを一貫して正しく維持すれば、タイヤの磨耗やカーカスの耐性に良い効果があり、トラックの燃費低減にもつながります。

インフレーションのチェックは、毎シフト前の習慣としてトラック検査に取り入れるべきものです。それが無理な場合でも、少なくとも1日1回はタイヤのインフレーションを確認するようにしてください。

空気の入れすぎと減りすぎの両方に注意しましょう。入れすぎは不均等な磨耗や、硬い路面を走った際にタイヤが破裂する原因になります。逆に減りすぎていると、タイヤがたわみやすくなります。

また、タイヤに負荷をかけすぎないようにしてください。インフレーションが過剰でも不足していても、タイヤがダメージを受ける恐れがあります。

タイヤは運搬用トラックが動き続けられるよう設計されています。お客様とお客様のチームの間で、トラックの継続的な稼動を維持できるよう、適切なタイヤを使用し注意深くメンテナンスを行ってください。

OTRタイヤに関して豊富な経験を有するベテランのEric Matsonは、Goodyear Tire & Rubber CompanyのOTRタイヤ事業に携わるグローバル フィールドエンジニアリングマネージャーです。